・大問1 小問集合 配点13点2017年度の色々な都道府県から問題を抜粋してきました。
問1…山口県
ただの正負の基本計算ですが,良い感じに捻ってありますね。好きです。
問2…長崎県
「くっついた図形」ですが,基本の組み合わせ。πを忘れないのと,分数計算地味に注意。
問3…奈良県
どうなんだろう,北海道の中学生ならほとんど【解法1】で解きそう。【解法2】の解き方を覚えておくべきです。
問4…三重県
まあまあ難しい割合連立方程式です。割合でほとんどの中学生逃げると思われますが,よく見ると定期テストレベルです。
「今日の」であることに注意!
・大問2 何かと新傾向な問題 配点8点トムブラウンの布川さんと道音さんが,平均値,中央値,最頻値,偏差,偏差の平均について会話している問題。少し高校を先取り??
問1…
頼むからミスしないでほしい!!!
問2…
「得点と平均点との差」=「
偏差」と言います。高校で習います。A学校よりB学校の方が,ばらつきが大きいそうなので,この偏差を使って何とかしようと思いますが,偏差の平均は必ず0になってしまいます。
問題作成の都合上,ここで終わっていますが,この偏差を2乗して平均したものを「
分散」と言います。この「分散」を√とったものを「
標準偏差」と言います。「標準偏差」を使って,データのバラツキ具合を表すことが多いです。
(後でこの続きのプリントでも公開しようと思います)
・こちらのサイトが分かりやすいです。(統計学の時間)※Σ記号とか,中学生にはまだ厳しいかもだけど読んでみると面白い。
問1で述べたように,平均値,中央値,最頻値が全く役に立たないこともあります。問1で伝えたいことは「その代表値が適切かどうか考える」です。何でもかんでも平均出したがる人いますよね。
問2で分散,標準偏差の導入をしていますが,標準偏差も,何でもかんでも計算すればよいという訳ではありません。
標準偏差の間違った使い方をしている分かりやすい例が,
こういうサイト(M1グランプリ 2018 得点一覧)です。
コンビ名 | 巨人 | 礼二 | 塙 | 志らく | 富澤 | 松本 | 上沼 | 平均 | 標準偏差(意味なし) |
見取り図 | 88 | 91 | 85 | 85 | 86 | 83 | 88 | 86.57 | 2.441 |
スーマラ | 87 | 90 | 89 | 88 | 89 | 85 | 89 | 88.14 | 1.552 |
かまいたち | 89 | 92 | 92 | 88 | 91 | 90 | 94 | 90.86 | 1.884 |
ジャルジャル | 93 | 93 | 93 | 99 | 90 | 92 | 88 | 92.57 | 3.156 |
ギャロップ | 87 | 90 | 89 | 86 | 87 | 86 | 89 | 87.71 | 1.485 |
ゆにばーす | 84 | 91 | 82 | 87 | 86 | 80 | 84 | 84.86 | 3.314 |
ミキ | 90 | 93 | 90 | 89 | 90 | 88 | 98 | 91.14 | 3.136 |
トムブラウン | 87 | 90 | 93 | 97 | 89 | 91 | 86 | 90.43 | 3.453 |
霜降り明星 | 93 | 96 | 98 | 93 | 91 | 94 | 97 | 94.57 | 2.321 |
和牛 | 92 | 94 | 94 | 93 | 92 | 93 | 98 | 93.71 | 1.906 |
平均点 | 89.0 | 92.0 | 90.5 | 90.5 | 89.1 | 88.2 | 91.1 | | |
標準偏差
| 2.828 | 1.897 | 4.365 | 4.522 | 2.022 | 4.377 | 4.928 | | |
この記者は,ファイナリスト毎の標準偏差を出しており「標準偏差が3点台と大きいコンビが多い,意見が割れているコンビが多い」と
間違った分析をしています。
もう1度言います間違っています。ファイナリスト毎の標準偏差が意味を成すのは,各審査員の点数の価値がほぼ同じでなければなりません。
分かりやすいのが,礼二さんと松本さんにおける,トムブラウンさんの点数です。
礼二さん90点…しかし,90点は礼二さんの中では最低点である(最高点96点)。
松本さん91点…松本さんの最高得点は94点,最低点80点であると考えると,結構な高評価である。
しかし,この2人だけの標準偏差を出すと「ばらつきが無い=礼二さんと松本さんはトムブラウンに同様な評価を下している」
と
間違った解釈をしてしまいます。
ゆにばーすさんにおいても,標準偏差3.314と一見大きいですが,これは礼二さんが下から2番目の評価なのに「91点」と高得点だからです。どう考えても「バラツキが大きい,意見が割れている」と判断するのは誤りです。
だから,審査員ごとの標準偏差(縦の平均,志らくさんは得点のバラツキが大きく,礼二さんは得点のバラツキが小さい,など)はまだ意味ありますが,ファイナリスト毎の標準偏差(横の平均,トムブラウンさんは意見が最も割れている,など)は,ほぼほぼ意味を成しません。
M1グランプリ2020でも標準偏差を出している人がいますね。「巨人師匠の最高点は92点,しかし上沼さんの最低点は92点」という簡単な事実から,すぐに「ファイナリスト毎の標準偏差なんて意味がない」と気づくはずなんですがね(ここについてもっと突っ込んだ記事は,大問2の続きを作成した時についでに書きます)。
きっと,エクセルや統計パッケージソフトで簡単に出てしまうから,意味も考えずに計算して,記事にしているんだと思われます。
大学でほんの少しでも統計学の講義とったら「その代表値に意味があるのか」少しは考えるはず。
というか,そもそもM1の得点なんて目安,本気で解析するなんてナンセンスです。ばかばかしい。
(まあでも,こういう統計の意味を考えない人がいるから,M1グランプリが盛り上がるのでしょうが。一概に「悪い人」とは言えませんね。)
教育的にも「間違った使い方」として教育しやすいので良いでしょう。
・大問3 関数 配点10点北海道では必ず10/60でます。ただ特にこの問題は言うことありません。
関数と中点に関するおすすめ問題は
こちら。
・大問4 証明 配点8点証明だけは北海道,他の都府県よりだいぶ捻ってあります。
なお,今回の問題は実は
2010年北海道の問題とほぼ同じです(笑)
今回のような二等辺三角形を組み合わせた四角形は「凧形」といいます。ひし形の下位互換です。
・大問5 学校裁量問題 配点21点数学オリンピックと,立川高校の問題を拝借しました。
問1…数学オリンピック日本予選の問題
整数問題において(式)×(式)=整数のように解く問題,高校範囲かと思いきや,平気で北海道でも何度か出題されています(
2010年と
2017年)。
こちらの問題が練習にちょうど良いです。
問2…2012年度立川高校
(3)は本来「△ACFの面積を求める」ものでしたが,今年度は範囲外なので,少し変えました。
結構(1),(2)の確率場合分けがしんどいです。(3)が一番簡単,(1)が最も難しいですね。
問3…2014年度立川高校
立体を平面に直す作図,問題の出題方法が面白いですね。作図も,少し考えれば分かるけど......?の絶妙なラインんを攻めています。
ぶっちゃけ大問2はふざけていますが,それ以外の問題は解けるようにしておいて損はありません。
ではまた。